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その蛍光灯さえ時代物の

2006年11月05日 19:00

物音を直管が二本
平行に並んだ...

天井の闇から
不気味に下がり
ジージーとおかしな物音を
しきりに立てて、

飛びまわる蝿、
肥え太った蜂の羽音と
聞き違う様な
図太い羽音...

スイッチの紐が
だらしなく下がり...
昼の光さえささない
うす暗い物置の様な

物置といっていいだろう
売店の
棚にあるのは
缶詰と缶詰と漬物と、

自炊客の為の
さんまの蒲焼き
さばの味噌煮か
大和煮か...

黒光りする
板の間の
重いガラス戸を引いて
誰もいない売店

よく磨かれた
ガラス戸の向うに
下がる蛍光灯
うすら寒く...

一日、日のささない
暗がりに
一日つけたままの
灯りのさみしく、

窓のない
布団部屋とも
女中部屋とも
つかない売店

板のきしみ
どこからか漏れて来る
明かりを頼りに
手探りで昇る

廻り階段の
板の壁、
両側から迫る
板の暗がり...

三角
狭くなってゆく
階段の、螺旋
一段、一段確かめて

増築増築
重ねた旅館の
どこへ続いてゆくのか、
踏み抜いて...

古くさい畳の
黴臭い匂い、
踊り場を上がると、
見えて来たのは...

襖を開け放ち
広々とした
畳八畳ほどの
客を待つ部屋...

片付けられた
座卓の上の
茶器と、盆の上の
温泉饅頭...

中二階ほどの
部屋の
やわらかい光の
部屋に満ち...

空いている部屋の
今日、今晩埋まるのか、
客を待つ部屋の
不思議な明るさ...

思わしくない
山の、
空を映して
静に客を待ち...

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