趣味は読書、悪女について

数年前、毎月何度か、上野に行った。
会社に内緒で日払いのアルバイトをしていたのだ。
事務所が上野にあって、僕は仕事が終わると、ほぼその足で必ず事務所に行って、日給をもらっていた。
事務所が移転したり、僕が引っ越したり、体力も無くなって来たので、自然と足が遠のいた。
その頃、事務所でお金をもらってから帰るのに、アメ横を通り抜けて、秋葉原の駅まで歩き、秋葉原のビックカメラの上階の有隣堂や書泉ブックタワーなどに寄った。
書泉ブックタワーには、案外面白い本が置いてあって、有隣堂よりも多く本を購入した。
そこで有吉佐和子の「私は忘れない」を買ったのを覚えている。
先日、新宿のブックファーストに行った時、有吉佐和子の「悪女について」という本が、書店のオススメになっていたので、購入した。
芥川の「藪の中」を長編にしたようである。
最後に語られるのが、真相らしく思えるが、実際にはどれも本当に思える。
その時の、自分の状態で、どうにでも受け取れてしまうのだ。
一般的に、悪女に感じたくないとおもえは、そのようにとれるし、悪女に違いないと思えばそうも読める。
真実はどこにあるのか、分からないものである。