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第一話の『冷飯』

2016年04月09日 06:33

第一話の『冷飯』

映画では場所の設定がなかった。江戸ではないどこか地方城下町だと思っていたが、原作を読むと、「百万石」と「香林坊」が出てくるので、金沢だと判明。この映画はすべてセット撮影でもあり、土地柄はあまり重視していなかったのだろう。私の興味は、映画で印象的だった部分が、原作にあるのかないのか、またどう書いてあるのか、ということにあった。たとえば、肌襦袢の襟元に縫いこんだ一両小判の扱い。映画では重要なモチーフとして生かされているが、原作では軽く触れてあるに過ぎない。映画の初めの方で、主人公の大四郎が着替え襦袢母親(木暮実千代)が小判を入れ替える場面があり、次に、兄三人が大四郎に一両ずつ小遣いをやるところでは次男が襟元から小判を出す場面がある。そして、大四郎が料理屋で拾った財布を中老の中川八郎兵衛(千秋実)の家へ届けに行って、金が足りないと中川に難癖をつけられ、やむなく大四郎がなけなしの小判を出すことになる。原作ではここで初めて「肌付の金一枚」が出てくる。映画ではこの一連の描写が大変面白いのだが、これらはすべて創意工夫だった。原作には兄三人が小遣いを出し合う場面もなく、これは細かいことだが、中川が足りないと言う金額も違っていた。(原作では一両二分一朱、映画では三両一分で、ちゃんと金額の辻褄を合わせていた。)また、大四郎が通りで出会い一目惚れした娘(入江若葉)を桔梗の花にたとえるところがあるが、これは原作にもある。ただ、映画では中川八郎兵衛の娘の名前が菊乃で、どちらの娘と結婚しようかと大四郎が一瞬迷うところで、桔梗の花と菊の花のフラッシュバックがあって、ここがラスト・シーンへなだれ込むつなぎのカットとしてものすごく効果的で、いかにも映画的な手法なのだが、もちろん原作にはなかった。その上、中川の娘の名前は、原作では八重で、菊乃ではない。さらに、気がついたのは、映画の初めに大四郎が紙屑屋とぶつかって、古書を買う場面があり、その古書の題名が『秋草庵日記』になっていたが、これも完全に映画上のアイデアで(多分こんな本は実際にはないのだろう)、桔梗と菊という秋の草花を後で登場させる布石になっているのが分かった。『冷飯』は、ストーリーは原作に忠実だが、映画の中にはかなり手の込んだ仕掛けが施してあり、それを知って私は納得し、「うまいもんだなー」と感心したのだった。

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