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孤独の淵から(9)

2022年12月07日 20:15

前回からの続き

ひまわり会の活動に参加して、何回目かの時、ふと、それまで見かけなかった子が目についた。

その子は運動室の隅っこに1人でしゃがみ込んで、ぶつぶつとつぶやきながら、独特の動きで床に向かって腕をクルクルと回したりしていた。

その子もみんなと一緒に楽しく遊べたらいいのになぁ、と思いながら眺めていると、先輩ボランティアのRさんが声をかけてきた。

「F君ね、独特の世界があるみたいで、一緒に遊ぼうって誘っても、なかなか入ってきてくれないのよ。でも、お母さんの話だと、ひまわり会に来るのは楽しいみたいなの」

Rさんは、小柄で控えめな雰囲気だが、みんなのことをよく見ていて、危ない場面があると、さっとフォローしてくれるような女性だった。
Rさんから(F君はそのままにしておいて、みんなと遊びましょう)という表情を向けられたが、僕は好奇心から、「F君と遊んでみます」と言って、F君の横に並んでしゃがみ込んだ。

こんな隅っこにいて何を思っているのか?僕が関われることはないのか?
F君の顔を覗き込んだが、フイッと反対側を向かれてしまった。
あー、何をどうすればいいのだろう、、、

背中でRさんや他の子たちの楽しく遊ぶ声が聞こえる。
Rさんに言っちゃった手前、なんとかしてみよう。

とりあえず僕は、F君の隣でF君の真似をして、腕をクルクルと回してみた。
F君は、僕の動きを横目でチラッと見ると、ちょっと違った動きでクルクルし始めた。

あれ?僕の動きに反応してる?

そこで僕は試しに、わざと大きな動きでクールクールとしたり、素早い動きでクルクルクルクルとやってみたりした。

すると、F君は一瞬顔を上げて僕のことを見てきた。

あ、これはいい感じかも。

僕は、F君に近づいたり離れたりしながら、思いつくいろんな腕の回し方をしてみた。
F君はそれをチラチラと見ながら、反応したりしなかったり。

あー、やっぱりダメなのかな、難しいな。

僕は少し息が上がってきて、お尻をついて休もうとした。
その時、不意にF君が僕の腕をつかんでゆっくりと引っ張った。
一緒に遊ぼうというF君の意思表示だった。

それから、僕は、F君の様子を見ながらさまざまに身体を動かし、F君はそれに応えていくようになった。
次第に2人は立ち上がり、どんどんと動きがシンクロしながら大きくなっていき、F君はみるみると楽しげな表情を浮かべていった。

気がつくと、僕たち2人は、運動室の真ん中で他の人を押し除けるようにキャーキャー言いながら動き回っていた。

Rさんの少し驚き、よくやったね、というような表情が僕の目の端に映った。

つづく

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