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Dolls ; 見た映画 June ’06 (4)

2006年06月09日 08:57

Dolls (ドールズ)   2002年


脚本監督編集北野武
音楽 :   久石譲 
収録時間 :本編  113分  監督インタビュー; 24分14秒
発売元バンダイビジュアル

配役、出演 *佐和子 :菅野美穂
    *松本 :西島秀俊
    * 親分 : 三橋達也
    * 良子 :松原智恵子
    * 春奈 :深田恭子
    * 温井(新人) :武重勉
      他に岸本加代子吉沢京子

梅川忠兵衛の話で始るので久しぶりに見る文楽人形の動きとそれを操る太夫たちを撮るカメラに感心したのだがその後の話の導入部、満開の桜の並木を動く、「繋がり乞食」にすぐこれは道行きだと気づいたもののその顛末、金に目が眩み社長の娘を娶ろうとして、女を捨て自殺に走った女のことをその結婚式で知らされ、はい、それでは私の責任です、捨てた女を面倒見て徘徊します、では調子が良すぎる。 で、結局、雪の道行きで女を引っ張りまわした末に、回想のスキーリゾートホテル婚約ネックレスに狂女が目に涙をあふれさせて「美しく」文楽人形よろしく終わりにする、これじゃわたしのような世間ずれした男には文楽ほどの涙をしぼらせる情念は湧きはしない。ここで私の想いは狂女の狂を想う。 けれどそこに至にはあまりにもひ弱い。 狂女にとことん狂わせ男の無為を揺さぶる手もあったろうにここでの「詩的」が邪魔をする。

ロマンだとか詩的というと多分、このいくつもある四季折々の映像、その中に交差する男女の話で感じないのか、と詰問されるのだろうが、はい、綺麗です、それらの映像が別の構造で配置されればもっと効果的だったのではないでしょうかとしか応えられない。事実、北野インタビューの中で見るほうはそれぞれ、、、しかし、私は創る方です、と語っている。

北野インタビューで納得したのだが、いくら寵児の山本耀司のものといってもこれではいただけない。 だって、三橋親分の回想の弁当屋の娘と食い詰めて工場や娘を捨てる若き三橋の服があまりにもひどいし、言葉使いももうすこし50年ほどの前の埼玉言葉にならないものか、弁当の箱の150円でやっと時代が判別できたぐらいだ。 それでなんとか分かれという方が荒っぽい。 今の若い者ならそれで、ポカーンと眺めて納得するのだろうが、詩的優先といって押すなら、その現実と荒唐無稽に差があっていいという了見には少々納得しかねるのだが、いろいろそこのところはあるのだとインタビューから察せられるものの、これでは北野山本両方に不幸だ。

オムニバスを避けようとする意図は分かるものの却ってその繋げ方がそれぞれの話との関係性で無理が生じ、逆にオムニバスという印象をつよめるのだ。 たとえ、ボードビル的男二人の道化を配置したとしても。 また、3組の男女をそれぞれを交差させるお話のあちこちに散見される小物、シークエンスの長さに今までどおりの北野好みの「情緒」、これまでの作品で殺伐とした話の中に配置される「詩的」なシーンと同じく美しいとは思うものの、その何もなさに置いてけぼりを喰ったような気分になるのだ。 北野的虚無の照れ的表現なのか。

どうも女との距離のとり方、というより関係がいびつである。 ばあやろー、てめーなんかにいわれたくない、わかるわけないじゃねえか、というのならそのメカニズム文楽調で見せて欲しいものである。

しかし沢山人が死ぬものだ。 道行きの「つながりこじき」は当然そうなるものだが、後は男が死に、女が残される。 便利なものだ。 しかし、三橋の死に方は納得できるものであるし、すでに毎週土曜日、ということが告げられたときから予測のつくことだった。 けれど、三橋親分が羊羹を置いて錦鯉の泳ぐ縁側で抹茶をすする場面は政財界のドンたちと相似形であり、その依って立つ経済的資産源に想いを至すときにはこれらの「洗練された」姿には寒気がするものだ。 それも三橋親分の納得するところであろうし健さんの「死んでもらいます」を見た親分の屈託かもしれない。

エンドクレジットに流れる音楽にしても北野ごのみらしいしモーリスラベルの旋律が効果的ではある。 色彩は美しいし、道行を始める黄色い、イエローキャブの態の車の番号が「72−18」というのは「何、いや」ということなのか、いやはや。

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